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【読書メーター】5月度まとめ

5月度の「読書メーター」まとめ。

 

5月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:924
ナイス数:172

高瀬舟高瀬舟感想
【1回目】幾重にも不条理が重なった末に成立した「諦念」ということだろうか。幼くして兄弟2人きりとなり、生活も貧しく、人をうらやんだり、憎んだりすることさえもできなかった。安楽死の是非という視点からのみで語ってはいけない作品だが、あの時にああなっていたら、兄弟はこんな選択をしなかっただろうと思う。
読了日:05月01日 著者:森 鴎外


影との戦い―ゲド戦記〈1〉 (岩波少年文庫)影との戦い―ゲド戦記〈1〉 (岩波少年文庫)感想
【再読】少なくとも3回目。再読にあたって、岩波少年文庫Kindle版を購入。ゲドが虚栄心と功名心から呼び出してしまったのは、自分の影であり、生と不可分の「死」そのものであった。そのことは、ラストでの「合一」からもうかがえる。以前読んでいたつもりになっていたことが、ずいぶんと読み飛ばされていたことがわかっただけでも、益となった再読だった。残り5巻を読むかどうかはわからない。
読了日:05月03日 著者:アーシュラ・K. ル=グウィン


錦繍(きんしゅう) (新潮文庫)錦繍(きんしゅう) (新潮文庫)感想
【再読】以前に文庫版、電子書籍版で複数回読み継いできたものを、全9回の読書会に際し、再度文庫版を買った上での読了。以前までに受けてきた感銘が、より深まった印象を受けた。主人公で、元は夫婦であった亜紀と靖明の双方とも、手紙を書き綴ることで、自己とそれぞれの課題に向き合い、「再生」に向けて歩み始めるという構成であると思う。ことに亜紀の手紙にある、「生と死とは一つのもの」「宇宙のからくり」という記述が転回点となっている。35歳の宮本氏の、稀有の達成であったと感じる次第。
読了日:05月07日 著者:宮本 輝


感じるオープンダイアローグ (講談社現代新書)感じるオープンダイアローグ (講談社現代新書)感想
【1回目】単語としては知っていたものの、「傾聴」や「アルコホーリクス・アノニマス」とどう違うのかがわからなかった。さりとて、この本を読んでみて明快になったわけではない。印象としては、支援者側・クライアント側の双方が複数で一同に介して、「対話」を進めることで、クライアントが抱えている困難を緩和するというものであろうか。そこで重要になってくるのが、何が対話(的)であり、どういう条件の下で対話が成立するかということであろう。トレーナーになるには3年以上が必要だという。一朝一夕で真似できるようなものではない。
読了日:05月12日 著者:森川 すいめい


NHK 100分 de 名著 三島由紀夫『金閣寺』 2021年5月 (NHK100分de名著)NHK 100分 de 名著 三島由紀夫『金閣寺』 2021年5月 (NHK100分de名著)感想
【1回目】戦後社会に放り出され、宙ぶらりんになってしまった三島の姿と重ね合わせた平野氏の読解は説得力を持ち、原著の鑑賞の手引きとなると言える。ただ、私は本作を先に読むという「禁じ手」と使ってしまったので、「平野説」からどれくらい自由に読めるかが心許ない。一貫して平野氏が述べているのは、現実と理念(または観念)の乖離・分裂。戦後社会の到来が、必ずしも解放を意味したわけではないことを、念頭においておくべきだとする解説は、優れていると思った。
読了日:05月17日 著者:平野 啓一郎

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